「家族旅行にいこう」
と、弟が提案してくれた。
無口で、自分からあまり喋らない弟なだけに、
急にそんな言葉を口にしたから驚いた。
今は実家で、母と弟とわたしの3人暮らしをしている。
そして弟は、来年4月に結婚して家を出る。
きっとこれが最初で最後の3人旅行。
「母へのプレゼント」なのだ。
とてもとても心優しい弟。
弟が家を出た後、わたしもここを離れるので、
母はひとりになる。
その未来を想像したら胸が痛くてたまらない。
母も寂しくてたまらないはずなのに、
わたしたちの進む道を笑顔で応援してくれて、
いつもサポートしてくれている。
母はとても強い。
でもね、父の仏壇に手を合わせるとき、
いつも涙目なのを知っているんだよ。
大切な人を失ったものにしか分からない悲しみがある。
弟もそれを痛いほど理解していて、
母を大切にしようとしている。
3人それぞれが思いやりを持ちながら暮らせていることに、
そんな関係を築けたことに、
感謝だなと思う。
ここに戻ってこなければ気付けなかったこと。
「変わらないもの」なんて何ひとつない。
だからこそ、今のこの時間を、
今かんじる気持ちを大切にしようと思うんだ。
未来を見据えて行動しながらも、今を大切にしようと思うんだ。
先日、彼に手紙を出した。
しつこくて自分でもイヤになるし、
彼の幸せを願うなら笑って応援すべきなのだと思う。
でもね、わたしと幸せになってほしいんだ。
「わたしとの未来を考えると不安だ」
と言ったでしょ?
わたしも同じ気持ちだった。
だからあの時、あなたの元に飛び込めなかったんだ。
でもね、今はあなたとの未来が描けるんだ。
わくわくする未来が描けちゃったんだ。
いまさらだけど、そうなんだ。
めんどくさいヤツでごめん。
心苦しい選択をさせてごめん。
やっとね、本当にやっとのやっと、
あなたの答えを受け入れる準備ができたから。
どんな答えでも受け入れるから。
だから最後にもう一度だけ
あなたの心の声を聞かせてほしい。
いつでもいいから、
あなたの答えがでたときに、心のままを。
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